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ケトーシスと糖尿病ケトアシドーシスの違い(2020.11.7)

長い間、医者をやっていると意識が朦朧で嘔吐し過換気(呼吸回数が多い)で血圧の維持もままならない状態で運こばれてくる患者さんに出くわします。私は前任の勤務医時代に経験しました。その患者さんは1000mg/dlを超える高血糖で動脈血分析では代謝性アシドーシス(血液が酸性に傾く)を認めました。糖尿病家族歴はなく感冒(感染)を契機とした1型糖尿病と診断しました。こういった患者さんは脱水状態を合わせ持っていることが多く脱水を補正しながら持続的にインスリンを投与し健全な状態に持ってゆきます。この時は何の疑いもなく高ケトン体が代謝性アシドーシスの原因と考え、ケトン体は「悪」だと思っておりました。しかし近年、平澤先生や宗田先生の知見からケトン体の出現は糖質制限によるエネルギー産生経路の変更によってもたらされるものであり、また胎児や新生児はケトン体で生きていることも明らかになりました。古川先生の著書「ケトン食ががんを消す」には糖質制限ケトン食を受けた糖尿病のないステージ4の癌患者さんのケトン体値、血糖値、血中、尿中PHが載っております。ケトン体はかなり高い値を示しておりますが、血中、尿中PHはともに正常範囲内であることが示されております。インスリンの働きが正常であれば(あるいは多少のインスリンがあるだけでも)血液中にアセト酢酸やβヒドロキシ酪酸といった酸性物質が増えてもアシドーシスにはなりません。糖尿病性ケトアシドーシスは極端にインスリン分泌が低下し高血糖になった時に起こるのであり、糖質制限(あるいは糖質が摂れない)

によるケトン体の出現(ケトーシス)で起こるわけではないのです。ケトン体は「悪」ではなく「善」なのです。

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